いつまで自衛隊を違憲状態にしておくのか?
5月3日は憲法記念日。毎年、改憲派や護憲派がイベントなどを開き、それぞれの主張をしている。
各種世論調査を見ると、改憲・護憲はそれぞれ約3分の1でほぼ拮抗している(若干、改憲派が上回っている)。昔日、「憲法改正」と言っただけで犯罪人扱いされそうになったことを思えば、かなりの変化だと思うが、いまだに国民の3分の1が憲法は変えるべきではないと思っていること自体、不思議でならない。戦争が起こらないようにしたいという点では私もそうだが、「では、そのために何をすべきか」という発想が完全に欠落している。ただ、「戦争反対」「話し合いで解決」「相手を刺激してはならない」と言っているだけではなんら戦争を抑止できないことは昨今の国際情勢を見れば一目瞭然だ。きわめて無責任で手前勝手で、駄々をこねている子供にしか見えない。
護憲派の人たちに問いたい。「自衛隊はない方がいいのか」と。すると、極端な左翼でもないかぎり「必要だ」と応えるだろう。
そこでこう問う。
「そもそも自衛隊は憲法違反ではないのか」
おそらく返事はこうだ。
「自衛隊については砂川裁判において最高裁が合憲と判断しているではないか」
たしかにそのような判決が下されたことは事実である。しかし、やむをえなく「カラスは白い」と詭弁を弄したにすぎない。そうでもしないことには自衛隊の存在が違憲となってしまい、現実との齟齬が生じる。私はその判決自体が恥知らずな行為だと思っている。
年々、自衛隊を志望する若者が減っているという。
それはそうだろう。大規模災害が起これば、嫌な役目だけ押し付けられる。給与はほかの国家公務員とほぼ同じ。それでいて、国民から尊敬もされず、場合によっては白眼視される。そんな組織に若者が入りたいと思わないのは当然だ。
まず自衛隊は絶対に必要。そのうえで、言葉遊びではなく、堂々と合憲だと言えるようにする。そのためには憲法改正は避けて通れない。
自衛隊を思想や観念の遊び道具ではなく、きちんと現実を見据え、法解釈のくびきから解放させねばならない。よって、政策論議において第一に掲げるべきは経済対策より憲法改正であり、次いで教育である。長年、経済対策ばかりに重きを置いた結果、いまのような状況になった(経済は停滞し、世相が荒れている)。「嫌なことは考えたくない」という態度ではなく、きちんと現実に向き合おう。
(240504 第1221回)
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