景気の気は、気持ちの気
『Japanist』第20号(1月25日発売)の巻頭対談のゲストは、ルース・ジャーマン・白石さんだ。
ルーシーさんはハワイ生まれのアメリカ人。1987年、日本に留学して以来、大の日本ファンになってしまった。その後、日本で26年間生活し、日本の長所を隅々まで知り尽くしている。
ルーシーさんから見た「日本のいいところ」はその記事を読んでいただくとして、われわれが当たり前のことと思っていることも外国の人から見たら驚嘆すべきことに映ることが多々あるということをあらためて感じた取材だった。
本来、自分が生まれ、育った国の良さを知ることは、基本中の基本である。しかし、残念なことに、戦後の自虐史観に基づく学校教育で、その大切なことがすっぽり抜け落ちてしまい、その結果として、自分が日本人であることに誇りを抱けない人がたくさんいる国になってしまった。自分の存在を肯定できない人が、世の中のために何かをしようと思うはずがない。まず、自分が日本人であることに誇りをもつ。それが出発点だ。
幸い、安倍さんが総理大臣に返り咲いてから、日本人の気持ちも少しずつ上向きになってきたようだ。安倍首相は就任以来、わずか一年強でさまざまなことをなし遂げた。さすがは岸信介の系譜を継ぐ人である。
大胆な金融緩和をはじめとした経済政策(アベノミクス)を断行し、長らく停滞していた日本経済を活性化させた。さらに、TPP交渉参加、国家安全保障会議(NSC)の設立、消費税増税、特定秘密保護法、靖国神社参拝など歴代の政権が避けてきたことを次々と実行した。あまり報道されていないが、教育改革にも大きな道筋をつけようとしている。さらに、東京オリンピック招致、訪日観光客1000万人達成も実現したが、これらも民主党政権のままだったら、実現していたかどうか甚だ疑わしい。日米両政府で懸案だった普天間基地移設問題解決の糸口をもつかんだ。驚くほどのペースで外遊し、外国の首脳たちと交流を深めたことも特筆に値する。
もちろん、それぞれの内容を吟味すれば、いくらでも批判はできるだろう。しかし、一昨年までのあの悪夢のような民主党政権が今でも続いていたらと仮定すると、背筋が凍る思いがする。
安倍政権は今年もさまざまな改革を断行するだろう。そして、その都度、国内外の反日勢力やメディアの批判を浴びるにちがいない。
国民のすべてが同じ思想である必要はない。しかし、だからこそ国民の一人ひとりが、自分なりの判断基準をもつべきだと思う。
「いつかきたあの道」を再び歩むことになるのは、国民の多くが盲目的にメディアの報道を信じてしまったときだということを肝に銘じたい。
(140108 第479回 写真は対談中のルース・ジャーマン・白石さんと中田宏氏)