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紺碧の将

SHOKUNINを世界共通語に

2014.01.26

エアロコンセプト撮影中 エアロコンセプトの菅野敬一氏の真髄に迫ろうとする本『SHOKUNIN』の執筆・撮影・編集を進めている。

 昨年は、富士山や和食など、日本の自然や文化が世界遺産に登録されたが、次は「職人」を世界共通語にしようという目論みも含んだ大胆なタイトルである(と自画自賛)。前半は菅野氏のものづくり哲学を文章で、後半はエアロコンセプトの作品を森日出夫氏の写真で紹介する。できれば英語版も実現させたいと思い、最初から横組みで編集する。

 職人とはなんぞや? ドイツのマイスターとどう違うのか?

 日本に限らず、世界の至るところにものづくりの現場はある。ある意味、人類の歴史はものづくりの歴史といってもいいくらいに。

 さて、菅野氏の名刺には、「職人」という肩書きが印刷されている。通常であれば、「代表取締役」となるのだろうが、菅野氏はあえて「職人」という肩書きをつけている。そこに、深遠な矜恃を垣間見るのである。と同時に、現代社会に対する強烈なアイロニーも感じる。なにしろ、技術大国ニッポンと言われるこの国においても職人の棲息領域はどんどん狭まり、もはや風前の灯だ。そのかわりに台頭したのが、100円ショップに代表される「超・安物」の類だ。結局、あの仕組みは製造している人も販売している人も買った人も幸せにしない。近江商人は「三方良し」を標榜したが、超安物販売は、まさしく「三方悪し」」の典型例だ。

 日本人なら、いいものを見極め、いいものを長く使おうよ。昔の人はいいことを言った。「安物買いの銭失い」と。安いからといって粗悪品ばかりを買うのは、結局、大切なお金を失うことでもある、と。

 「職人」という言葉には、人々の生活様式や価値観、歴史観、時間の観念、自然観、人間の存在意義など、多くのものを網羅した概念が含まれていると思っている。それを『SHOKUNIN』で表現することができたら本望だ。

(140126 第482回 写真はエアロコンセプトを撮影中の森日出夫氏)

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