原爆に負けない木
2015.06.07
前回に続き、広島ネタを。
被爆の木として有名なアオギリの木がある。原爆投下後、「今後75年間、広島には草木も生えないだろう」と言われていた。しかし、爆心地から約1300メートル離れた場所に生えていたアオギリは、猛烈な爆風を受けて焼け焦げたにもかかわらず、なんと翌年、新しい芽を出したのである。その逞しい生命力に勇気づけられた広島市民も多いという。
今回紹介するのは、そのアオギリの木ではない。広島城を見るため、城郭内に入ったとき、偶然、被爆した木を見つけたのである。ひとつはマルバヤナギ(写真上)。もうひとつはユーカリ(写真下)。いずれも爆心地から約750メートルの場所に生えていた木だ。
間近で凝視した。そして、心の中で語りかけた。
「よく生き残れたね」
「もうダメかと思ったけど、信念岩をも通すだね」
「どんな信念があったの?」
「愚かな人間たちに戦争の悲惨さを伝えることだよ」
「戦争はなくなると思う?」
「人間が人間である限り、なくならないだろうね」
その日の夕方、共産党が「戦争反対」署名運動をしていた。
これまでの歴史を見ればわかるが、共産党が平穏な社会を望んでいるとは思えない。「平和の使者」を語れるのは、共産党ではなく、冒頭のアオギリでありマルバヤナギでありユーカリであろう。
(150607 第560回)