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紺碧の将

愚か者のしわざ

2015.12.25

ユリの大木 今年も残すところ、あと一週間。『Japanist』第28号の編集も大詰めに入り、大きな区切りへと向け、並行して着々と進んでいる。

 嬉しいニュースがあった。新国立競技場のデザイン設計コンペで隈研吾さんのA案が採用されたことだ。「子供が自転車を乗る時に被る帽子のようなデザイン」(盆栽家・森前誠二氏談)の当初案と比べれば、今回の2案はいずれも素晴らしい。正直、甲乙つけがたいと思っていたが、品格と荘厳さ、木を多用していること、そして小誌の推薦人として名を連ねていただいているご縁もあって、ぜひとも隈さんの案で、と念じていた。
 国立競技場は今の住まいから歩いて7、8分程度。日常の風景の一部にもなることからコンペの去就に注目していたが、ひとまず安堵した。
 隈さんのデザイン案を見ていると、つくづく木の建築はいいと思う。
 建築に限らず、樹木や草花の美しさにますます魅了されている。以前も小欄で、植物を尊敬していると書いたが、その思いは強くなるばかりだ。朝走るときも、〝魂の友人〟と勝手に決めている大きなスズカケの幹にタッチしている。何かに没頭しているときも、体が勝手に反応してタッチしているので、一度たりとも怠ることはない。不思議なもんである。

 

 ところで先日、事務所のある宇都宮へ行って、愕然とした。かつて愛用していた総合運動公園の並木がばっさり伐採されていたのだ。道路の両側、全部で100本以上はあるだろうか。すべて長い年月を感じさせる素晴らしい木だったが、なんともひどいことをするものだと胸が痛くなった。近くの看板には「道路を整備するため」と書かれている。ちゃんと2車線あるし、今まで渋滞になったことなどない道路なのに、なんで整備する必要があるわけ? と憤りが収まらない。
(151225 第603回 写真は新宿御苑のユリの木 ※直接本分とは関係ありません)

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