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紺碧の将

花の天分

2009.07.05

 最近、お年なのか、森羅万象にとまではいかなくとも、自然が創り出すさまざまな表情に感じ入ることが多くなってきた。

 風の音、雲の流れ、鳥のさえずり、山肌に生える木々の様子、川の流れ……。中でも私を驚かせてくれるのが、花だ。動物の生態にも驚かされることが多いが、花はまさに超一級の芸術品であると断言していい。

 以前書いたかもしれないが、ここで再び建築家・隈研吾氏の言葉を引用する。

──花を詳細にながめればながめるほど、一つの確信が深まっていく。一輪の花に比べたら、建築の作り出す美など、とるに足りないという確信が。

 

 例えば、右の写真の花。我が家のテラスに咲いているところを撮影したものだが、どういう「作為」があってこのような配色になったのか、不思議でならない。

 少し強めの雨が降った後で花びらが乱れているのが残念だが、要するにそれぞれの花は5枚の花びらをもっている。そこまではいい、よくある形だ。ところが、それぞれの花は、内側の2枚の花びらだけ濃い赤になっている。7〜8つの花がきれいに咲き揃うと、中央が真っ赤な色になる。つまり、それぞれの花は他の花との調和を計算に入れているのだ。誰が指示したわけでもないのに。オドロキモモノキである。

 この花を見て、ふと我が社、コンパス・ポイントの名刺を思い出した。手前味噌ながら、まさにこの手法だな、とほくそ笑んだ。

 コンパス・ポイントの名刺は、横2枚、タテ枚に並べると真ん中に赤いシンボルマークが現れる。それぞれ1枚ずつだと、マークが1/4しか印刷されていないのでこの意図が伝わりにくいが、4枚合わせるとマークが現れる。以前は我が社の4種類の名刺を全部集めたクライアントには何か特典をつけようかと思ったこともあるが、もちろんただの自己満足なので実行していない。

 それにしても、この花の名前、ピンク・パフェという。いったい、誰がつけたのだろう。もっと情緒のある名前にできなかったものか。

 花の名前はやはり日本らしい名に限る。

(090705 第105回)

 

 

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