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紺碧の将

超リアルな生態風景写真

2018.01.17

 東京ドームシティのGallery Aamoで開催されていた「天野尚 NATURE AQUARIUM」展を見た。天野氏は、ダイナミックな自然を写す写真家であると同時に、ネイチャーアクアリウムの第一人者でもある。ネイチャーアクアリウムについては次回に譲るとして、今回は彼の撮る作品について書いてみたい。

 風景写真に求められることのひとつに、忍耐力があろう。右の写真「谷川岳紅葉」は、思い描く光を待つこと4日、ついに雲間から差し込んだ朝日が紅葉の山肌を照らした瞬間を写したという。他にも、ボルネオ島の熱帯雨林の中で、朝日を浴びる原始の森の姿だったり、仙境と呼ぶ以外ない断崖絶壁の上にぽつんと存在する幽玄な田んぼなど、「最高の一瞬」をじっと待ち続けて撮ったと思われる作品が多い。

 デヴィッド・リーン監督は、理想の波が現れるまで、カメラを構えたまま極寒の地で数ヶ月も待ち続けたというが、そういった忍耐力がなければ、自然を撮ることはできない。

 天野尚のもうひとつの特長は、「生態風景写真」とあるように、生態系という秩序が保たれた自然を写しているということ。その延長として、ネイチャーアクアリウムへと行き着くわけだが、彼にとって、生態系が保たれているか否かは、きわめて重要なファクターなのだ。そのため、芸術性だけではなく、記録性も重視している。

 右のカメラは、彼の愛機。8×20インチ(約20×50cm)の大判カラーリバーサルフィルムを用いる。彼の作品をルーペで見ることができたが、その超リアルな自然の姿は言語を絶する。壁一面に引き伸ばしても、遠くに見える山裾の道を歩く人間が鮮やかに記録される。北海道洞爺湖サミットの会場に、天野氏の撮った佐渡原始林の特大パネルが展示され、当時の福田康夫首相が各国首脳に、日本を代表する自然として紹介したというエピソードもある。

 残念ながら、天野氏は2015年、永眠した。

 

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180117 第782回 写真上は谷川岳紅葉、下は天野氏の愛機)

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