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紺碧の将

花の強さ

2009.08.28

 わが家の塀と道路の境に、一輪の白いユリが咲いている。

 どう見ても、植物が育つような環境ではない。塀はコンクリート、側溝の蓋もコンクリート。西側なので、ほとんど日も当たらない。それでもキリッと咲いている。

 見事なものである。

 たぶん、カラスか何かが種を落としていったのだろう。風で飛んできたとは思えない。かなり広い住宅団地だから。

 

 この健気なユリを見ていたら、人間というのは本当に弱いなと思えた。すべて条件が揃っていないと満足しない。いい家柄かどうか、いい学校かどうか、優良企業かどうか、収入はどれくらいか、背は何センチか……、条件などその人の人生を決定づけるものではないのに、血眼になって条件を追い求める。

 それに比べて、このユリはどうだ。日当たりとか土の質がどうとか誰が見てくれるかなど、まったく眼中にない。潔いものだ。

 

 もうすぐ総選挙。各党の出したマニフェストを見ると、「条件」だらけ。この国の将来のため、こういうことをともにやっていこう! というメッセージは皆無。国家の安定的な発展のため、有権者にビジョンを示すのは政治家の最低限の役割なのに、保身ありきなのでエサをばらまくことしか念頭にない。

 今、国家全体の税収のうち、約半分が国債などの利払いに消えるという。

 半分が利息だって……。年収500万円のサラリーマンが250万円の利息を払い、しかもそれが年々増えるとしたら、どうなると思う? 子どもだって答えはわかる。破綻しかありえまい。

 社民党は「生活第一」という。それは裏を返せば、社会のことより「自分が大事」と言っているにすぎない。自民党の批判には忙しいが、北朝鮮労働党の批判はしない。友党だからね。

 共産党は国旗さえ認めないという。

 選挙は民主党の圧勝に終わるだろうが、民主党はほんとうに危うい。この国を滅ぼそうと企んでいる左翼勢力が一気に増長するだろう。日教組も息を吹き返すかもしれない。国旗を切って、平然としている党首がいる党だからね。

 かといって、自民党の時代が終わったことは明らか。血管の中の血液がバキバキに固まってしまったような状態。

 ほんとうにどうなってしまったんだろう、この国は。

 このユリに訊いてみたいよ。

(090828 第112回)

 

 

 

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