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紺碧の将

自然は答えを知っている

2018.03.10

〝あの日〟から7年が過ぎようとしている。

 あの日、私は午前中に宇都宮でアポがあったため、朝移動した。午後、そのまま宇都宮の自宅で原稿を書いていた。当時はまだ愛犬パンナが健在だったこともあり、妻とパンナとうーにゃんは宇都宮に住み、私は現在住んでいるところの近くにマンションを借りていた。そう、われわれは〝別居〟していたのだ。

 かつて経験したことのない揺れがきた。パンナは恐怖のため吠えまくり、うーにゃんは猛烈にダッシュした。私と妻も外へ飛び出した。一瞬、うーにゃんを置いてきたしまったことに気づいた(おそらく、捕まえることはできなかっただろう)。

 幸いにも、書斎の本棚から本が落ちた程度で、ほとんど被害はなかった。

 テレビをつけ、津波が町を飲み込んでいく様子を見続けた。作り物の映像を見ているかのような感覚を覚えた。

 5月、私は小さな車を駆って、被災地へ向かった。現場を見、被災地のために何ができるのか、考えたかったからだ。

 言語を絶する悲惨な光景が延々とあった。数百キロにわたって壊滅的な打撃を受けた海岸沿いの町を、茫然と見続ける以外になかった。

 

 震災によって、なにが変わったのだろう。人間と人間の〝絆〟が強くなった……気がしたが、はたしてどうだろう。たしかに瞬間風速的には強まったが、今では元に戻っていると思う。

 原発の安全神話が崩れたのも、大きな変化だ。自然が人間のウソを暴いたのだ。しかし、その後がいけない。原発を否定するのはいいが、こんどは「自然再生エネルギー」という美名を冠した新たな欺瞞がはびこることになる。山の斜面を切り崩し、広大な土地を太陽光パネルで覆い尽くすことが〝自然再生〟なのだろうか。その土地はゆっくり死んでいくだろう。

 エネルギー問題に関していえば、根本的な解決策は、「いかに使用電気量を減らすか」しかないと思う。

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」、連載中。今回は「痛い思いをする前に考えるべきこと」。

 

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(180310 第795回)

 

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