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紺碧の将

なぜ赤くなるのか

2018.12.26

 前回は白について書いたが、今回は紅葉について。 

 年も押し迫っているというのに、いまだ新宿御苑のモミジはこんなに色づいている。赤やオレンジや黄色や黄緑などが絶妙に折り重なり、多くの人を惹きつけている。走ったり歩いたりしながら、こういう美しい光景に出会うと、大金を拾ったかのような錯覚を覚える。

 だが、「待てよ」と思う。あらゆる生き物は無駄なことはしない。形、色、匂い、時期、場所など、すべてに意味があるはず。「なんとなくこうなった」とか「偶然にこうなった」というのはない。彼らには魂胆があるのだと思う。

 では、これらモミジはいったいどんな魂胆を秘めて赤や黄色になっているのだろうか。

 こういう色に変化することによってメリットがあるからだろう。メリットとは生きるため、あるいは子孫を残すため。ほぼその2つに収斂するはず。けっして、人間を楽しませるために余興でやってみました、という類のものではない。

 考えた結果。よくわからない。考えても考えても、納得できる理由が思いつかない。

 そこでいったん、答えを留保する。

 反則技だが、ネットで調べてみる。すぐ答えを得ようとするのは現代人の悪い癖だが……。

「森林・林業学習館」というサイト

https://www.shinrin-ringyou.com/topics/kouyou2.php

に次のような記述があった。

 ――赤い色素が樹木を守る。葉緑体の殻から飛び出した緑色の色素(=クロロフィル)は、おもに青色の光を吸収して有害な物質(=活性酸素)をつくり、植物の細胞組織を破壊していきます(=光酸化障害といいます)。そのため、青色の光をさえぎることができれば、有害な物質の生産を阻止することができるのです。そこで登場するのが赤い色の色素(=アントシアニン)です。赤色の色素は青色の光をよく吸収するからです。ちょうど部屋が赤いカーテンで覆われたようなもので、葉の中は赤い世界になります。青い光を受けなくなると有害な物質(=活性酸素)もあまりつくられず、次の春に葉を出すための養分を十分に取り込み、蓄えることができるのです。

 私たち人間にとって、紅葉は秋の風物詩ですが、植物にとっては、いわば「かきいれ時」の繁忙期なのかもしれません。

 

 なるほど。そうなのか。

 でも、知人はこうも言った。

「たくさんの人に見られて恥ずかしくて赤くなっているんじゃないですか」

 こういう考え方もアリかも。

 

「美し人」

美の生活化―美しいものを人生のパートナーに

 

※悩めるニンゲンたちに、名ネコ・うーにゃん先生が禅の手ほどきをする「うーにゃん先生流マインドフルネス」連載中。第34話は「言葉は凶器にもなる」。

https://qiwacocoro.xsrv.jp/archives/category/%E9%80%A3%E8%BC%89/zengo

(181226 第867回)

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