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紺碧の将

自然は配色の天才

2019.04.13

 

 先月19日、新宿御苑の入園料が200円から一気に500円へ値上げされた(年間パスポートは2000円のまま)。にもかかわらず、入園者が増えている(と思う)。桜の季節ということもあってか、行列が千駄ヶ谷駅の方まで続く日が何回もあった。殺伐としていくばかりの世相を反映しているのか、多くの人が自然に目を向けているのかもしれない。

 もちろん、手つかずの自然ではなく、人間の手が入った自然。しかし、それだからこそ人間にとって心地いいというのも真実だ。

 

 あらためて、自然を司る〝だれかさん〟は、配色の天才だと思う。先日も友人とそういう話になった。薄くピンクのかった桜の花びらとトウカエデの新緑の組み合わせが絶妙なマッチングなのだ。これを人間の服装に喩えてみる。ボトムが黄緑、トップがピンクのかった白という組み合わせを見たら、すぐさま「ダサッ!」と思うだろう。

 右上の写真は新宿御苑の池だが、この緑の濃淡はどうだろう。対岸にほんの少し、ピンクの花が見える。

 横山大観の『作右衛門の家』は、微妙に異なる緑の配色がきわめて高いレベルで結実した傑作だが、大観ならずとも、このような自然の配色を手に入れたいと思うはずだ。

 潮が引くように花見客が減り、その分、静けさを取り戻すこの季節、存分に自然の配色の妙を楽しみたい。

 

「美し人」公式サイトの「美しい日本のことば」をご覧ください。その名のとおり、日本人が忘れてはいけない、文化遺産ともいうべき美しい言葉の数々が紹介されています。

https://www.umashi-bito.or.jp/column/

(190413 第892回)

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