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紺碧の将

『結果をだす男 中田宏の思考と行動』刊行

2019.05.19

 2年前から書き進めてきた中田宏氏の評伝『結果をだす男 中田宏の思考と行動』が、ついに5月20日、発売される。

 取材はときに朝から夕方まで、計8回に及んだ。中田氏が学生時代に書いた日記など、多くの資料を見せてもらった。まさしく、中田宏を素っ裸にしてからの執筆だった。

 2007年に取材して以来、志を同じくした『Japanist』での10年間を含め、彼との交誼は十数年に及ぶ。その間、つかず離れずの間合いを保ってきた。政治家とベタベタ、ズブズブの関係になるのはいけないと思っていたこともあったが、早い話、互いに無理な要求をしなかったのだ。

 あらためて驚くことは、初めて会って以来、中田宏という人物の印象が変わっていないということ。人はだれしも、長くつきあううち、印象が変わっていく。あれ? こんなはずじゃなかったのに、と。もちろん、いい方へ変わっていく場合もあるが、そうではないケースも多い。これはお互い様であり、私もそういう印象を多くの人に与えていたはずだ。

 しかし、中田氏の印象は一貫して変わらない。若い時分、社会に興味をもち、「政治はエリートだけのものじゃない」と思い、いろいろと煩悶しながら政治家への道を歩む。その後の生き様は、一貫している。

 政治家とひとくちに言うが、〝なにもしない〟政治家であれば、これほど楽な職業はない。周りから先生とおだてられ、ふんぞりかえっていればいい。しかし、〝ほんとうの〟政治家であれば、そういうわけにはいかない。本書を読んでもらえればわかるが、どうしてこんな貧乏くじを引くのか、と思う。もっと割のいい仕事は世の中にゴマンとある。にもかかわらず、あえてそういう仕事を選んでいること自体、驚き以外のなにものでもない。つまり、だれかがそれを引き受けなければ、世の中はたちゆかないのだ。われわれは毎日を何不自由なく暮らしているが、じつはだれかが大変な役回りを引き受けているからそれが維持できているのである。

 

 中田宏がどんな少年だったのか? なぜ学生時代、世の中に疑問を抱いたのか? なぜ松下政経塾に入ろうと思ったのか? 国会議員時代になにをしたか? 横浜改革とは? その大きな成果の反動ともいえる情報暴力とは? これからなにをしようとしているのか? それら諸々を余すところなく書ききった著作と自負している。

 いかに自分なりの志をたてるか、それをどう実現するのか、なにをもって幸せとするのか……など、万人に通用する普遍的なヒントがたくさん散りばめられている。

四六版336ページ 定価1,600円+税

https://japanist.shop-pro.jp/?pid=142897430

 

髙久多美男著『葉っぱは見えるが根っこは見えない』発売中

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(190519 第902回)

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