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紺碧の将

温泉について

2010.04.24

 前々回に続き、松山ネタを。

 右の写真は、道後温泉のシンボルともいえる「道後温泉本館」。

 堂々たる風格である。宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』に登場する湯屋のモデルになったところと言えば、ピンとくる人も多いだろう。

 

 なぜ、日本人は温泉が好きなのだろう。

「そこに温泉があるから」

 それも答えのひとつだろう。世界広しといえど、日本ほど温泉に恵まれた国はない。まず、われわれわはそのことに感謝すべきだ。

 しかし、それだけではないはずだ。

 私は、いつも忙しく動き回っている人間だと思われているらしいが、じつはのんびりするのが好きな人間である。そういう人間にとって、温泉は最適だ。さらに、東南アジアのリゾートホテルで日がな一日波の音を聞きながら本を読んだりするのも大好きだが、残念ながら最近はとんと行けなくなってしまった。海外旅行というと、ギッシリと予定を組んであくせくと動き回ることが好きな人が多いが、私は一週間くらいホテルから一歩も出ず、とことん猫のようになるのが好きなのである。ゆったり流れる時間の中でしかわからないことがある。

 「いや、なにもリゾートなんかに行かなくても、のんびりしようと思えばできるじゃないか」という意見もあるだろう。

 ごもっともである。

 しかし、仕事がタイトに詰まっている人にとって、あえてそういう状況を作らなければのんびりできないというのも事実である。

 忙中閑アリ。

 日常はタイトに仕事をし、のんびりする時は猫のようにただ時の流れるにまかせる。そういうメリハリを取り戻したいが、今のところはちょっと無理かな、という気がする。

 ところで、なぜ日本人は温泉が好きか、であった。

 着ているものをすべて剥ぎ取り(つまり本来の姿に戻って)、自然と同化できるということもその理由のひとつだろう。温泉は、鄙びたところほどいい。都会のど真ん中にある温泉なんて興趣がわかないだろう? 鄙びたところというのは、本来の自然の姿に近いということだ。そういうところで、本来の姿に戻って(裸になって)本来の姿に戻る。つまり、DNAに刻まれている「本来あるべき姿」に近づくことができるからではないか。

 アジアのリゾートに行けない今、せめて数ヶ月に一度は温泉旅行をしたいと思っている。

(100424 第163)

 

 

 

 

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