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紺碧の将

来年生まれてくる子も考える政治家

2019.07.19

 21日の投票日に向けて、選挙戦たけなわである。皆、必死なのはわかるが、どうも腑に落ちない。ますますポピュリズムの罠にはまっている気がしてならない。

「全国一律最低時給1500円」「消費税を5%に戻す」「一次産業の戸別補償を充実」「教育の無償化」……。

 巨額の財政赤字、進行する人口減少と高齢化社会など難題が山積にもかかわらず、「これもしてあげます、あれもしてあげます」といった政策ばかりだ。打ち出の小槌はどこにあるのだろう? なりふりかまわず当選したい。その一心はわかるが、あまりにも無責任である。一国民として愚弄されているとも思う。

 

 取材がきっかけで12年以上の交誼を結ぶ中田宏氏は、自民党の全国比例区で立候補しているが、彼の主張はいつも筋が通っている。なかでも感心するのは、「いつもマイナス1歳、マイナス2歳の人たちのことを考えて行動している」ということ。マイナス1歳とは来年生まれてくる子供のことを指す。

 言うまでもないが、日本という国はこれからもずっと続く。「今とこれから」のことを考えて、「今、自分たちは何をすべきか」を考えるのがまっとうな大人だと思うが、そういう考えを促す政治家はほとんどいない。

 中田氏の考えは、「死者に投票権を与えよ」というオルテガの思想ともかぶる。もちろん、死者が実際に投票するわけがない。過去に生きた人たちの叡智に学び、想像力を働かせて彼らの言い分を聞き、熟考のうえ投票せよということだ。

 矮小化する政治家に失望して久しいが、一方で中田氏のような政治家がいることに希望を見出してもいる。21日は投票用紙に「中田宏」と書いて、夜の吉報を待つことにしよう。

(番外編 190719)

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