大地の鏡
2010.06.10
東京から帰ってくるとき、ほとんど新幹線を使わない。と言うと、たいがい驚かれる。
以前も書いたが、在来線での移動は読書よし、音楽鑑賞よし、昼寝よし、アイデア練りもまたよし、と、私にとってあの1時間30分はけっこう貴重である。
特に、夕方、車窓の風景を眺めながらの移動は、さながら旅のようで、まったく苦痛ではない。大宮を超えると、だんだん田園風景に変わってくるが、5月上旬ともなれば、地面はまるで鏡のようになり、空を映すのである。
雲の動きや夕日の色の変化など、大地の鏡を通して見る風景は、いちだんと生き生きしている。やっぱり、地球そのものは生き物なのだということがよ〜くわかる。
詩想が豊かであれば、ひとつやふたつ気の利いた詩でもひねりたいのだが、どうもそちらの才能はなさそうだ。もちろん、歌も同様。
ところで、田園風景に合う音楽は何だろうか。
ベートーヴェンの『田園』と言いたいところだが、私の経験によれば、ラフマニノフやスクリャービンなどの近代ロシア系である。今までに幾度もうっとりさせられた。
もっとも、それは私だけの感じ方かもしれないが。
(100610 第173 写真は埼玉県蓮田市あたりの田園)