共鳴・共感とものごとの本質
今回で1000回に達した。12年10ヶ月を費やして、この数字に至った。読者の皆様にこの場を借りてあらためてお礼を言います。
本欄が始まった2007年は、『fooga』という月刊誌を発行していた。その2年後、『Japanist』を創刊し、10年間の発行をもって終刊。自著もいくつか世に問うことができた。このブログには40代後半から60代初頭にかけて考え、行ったことの多くが書かれている。さながら自分史の一部のようでもある。
さて、今回は1000回という節目に免じて、手前みそな記事を提供したい。長年、手前どもの蔵に常在する麹菌が醸す風雅な香りが特長の、純正手前みそである。
本欄が掲載されている「Chinoma」は〝知の間〟を意味する造語で、「知的好奇心のある人のためのサイト」を標榜している。「つながる知的共感」というコピーが示すように、さまざまな知的情報を提供することによって、共鳴・共感する人を増やすとの目的がある。ほかの意図はほとんどない。まれに新しい刊行物のPRをすることもあるが、本業である広告制作業については下の方に制作実績の一部があるのみで、記事ではまったく触れていない。
11のコンテンツ、年間約430本の記事を掲載し、全国にそれなりの読者を得ている。ときどき覗くGoogleアナリティクス(Googleが提供するアクセス解析ツールで、サイトの訪問者数やそれぞれのページビュー数、訪問者の地域、サイトの滞在時間、どこを経由してきたのかなど、多岐にわたる解析をリアルタイムで知ることができる)に変化が生じた。5月6日を境にアクセス数が急増しているのだ。なぜだろうと思った。大型連休明けに関係があるのだろうか、と。
会社のスタッフに聞いて、疑問が氷解した。年2、3回、Googleが検索の精度を上げるために行っている各サイトの精査で本サイトが評価されたことによって、検索エンジンにひっかかる割合が増えたのだ。
では、その精査はいかなるものか。公にはマル秘ということだが、おおよそ見当はつくという。それを行う目的は、検索の精度を上げること。キーワードを入力していくつかのサイトに誘導されたものの、中身がスカスカのサイトばかりではGoogleの価値は下がる。どんなキーワードを打ち込んでも、それなりに質の高いサイトへ誘導しなければいけない。
では、質の悪いサイトとは?
まず、他のサイトからコピペをしている記事が多いもの、目先のアクセスを増やすために本来なら10行で済む内容を30行にも50行にも膨らませているものなどだろう。誹謗中傷の類も含まれるはずだ。自社の商品を売ることだけを目的とし、ショッピングモールへ誘導するURLがついている記事ばかりのサイトも該当するだろう。いずれにしても、あまり人(社会)のためにならない情報が掲載されているサイトである。AIとマンパワーによってそれらを見極め、定期的にアップデートしているのではないかと推測できる。
これを知ったとき、世の中も捨てたもんじゃないと思った。コツコツと愚直に本質的な取り組みをしていることが、評価されるのだから。目先のアクセスを上げるため、検索エンジンにひっかかるようなキーワードをサイト内に散りばめるような指導をするSEO対策のコンサル会社、クライアントから依頼を受けてテレビショッピングのような記事を書くブロガーの手法をいちがいに悪いとは言えないが、一時しのぎの浅はかな行為だと苦々しく思っていた。しかし、真に効果を発揮するのは、そういう手法ではないということである。小手先の手法が効かなくなっているということだ。
自慢ではないが、「Chinoma」の記事は、検索エンジンにひっかかることを前提とした言葉選びをしていない。そもそも、そういう発想はゼロ。こだわるところは、本質的かどうか、だけ。
今回、知り得たことを励みに「Chinoma」を磨いていくと同時に、世の中に質の高いサイトが増えるよう、微力を尽くしたいとあらためて思った。
手前みそな記事に目を通していただき、ありがとうございました。当面、無料配信を続ける予定です。これからもご愛読ください。
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(200616 第1000回)