糖質制限なしで血糖値を一定に
たび重なる〝実験〟の結果、自分にとって心地いい食事のスタイルを築いたと思っていたが、やはりときどきメンテナンスは必要だ。ふと、ブランチ(遅い朝食)の後、猛烈に眠くなるのは、体からの警戒警報だと気づき、ネットで調べた。
これはまさに血糖スパイクではないか、と思った。
30代の頃、知人のインド人が私の情報を勝手に本国へ送り、1ヶ月後に届いた〝その後の人生〟を見て、驚くと同時に、「やっぱり」と合点がいった。そこには糖尿病と肝臓病のために死ぬと書かれていたのだ。
ガンにはならない気がする。確証はないが、自分の体の隅々まで意識を凝らして透視すると、そんな気がする。そもそもガンになるような生活をおくっていない。
しかし、糖尿と肝臓病の可能性はある。ふだん、なにも気にすることなく好きなものを食べているし、酒も好きだ。父親も糖尿病だった。
拙著に詳しく書いたが、あるとき、異常な肩凝りに悩まされて石原結實氏の断食サナトリウムに入り、体温を上げることの大切さを学んだ。血流が滞らなければ、体は本来の力を発揮する。そのためには食べすぎないということも。
それまで、一日3食摂っていたが、それを2食に減らしたら、スーッと肩凝りが消えた。以来、自分に合った食のスタイルを探し当てたと思っていたが、血糖値のことはまったく念頭になかった。
私はつねづね、塩と糖は重要だと思っている。もちろん、減塩とか糖質制限など考えたこともない。しかし、血糖値がジェットコースターのように急上昇したり急降下したりするのはいけないとようやく気づいたのだ。
いろいろ調べると、食事の仕方でかなり改善できるとわかった。
それまでは、朝の血糖値が低いところにもってきて、いちばん集中力を要する仕事をし、その後、いろいろな運動をしていた。そんな状態のときに腹9分目くらいまで食べる。体が糖を欲しがっていたところに食事をするのだから、急激に血糖値は上昇したと思う。
まず、朝食の時間を1時間10分ほど早くした。さらに、いきなりごはんに手をつけず、野菜類や魚などを食べたあとにごはんを食べるようにした。そして、ウォーキングを食後10分ほど経ってから行うようにした。
これだけで食後の睡魔はすっかり退散してくれた。
おまけに、夏になると私は日本酒の替りにソーダ割りの蒸留酒(ウイスキーなど)を飲むが、ちょっと前の本欄でも紹介したように、今年は奄美の黒糖焼酎を飲んでいる。
これがスグレモノである。よけいな添加物は入っていないうえ、糖分がゼロなのだ。
そんな折り、知人から、血糖値をリアルタイムで測定する便利な機器を教えてもらった。それが右上写真のフリースタイル・リブレ(アボット・ジャパン製)だ。右横の写真のように、二の腕の裏側にセンサーを装着し、リーダーを近づければ、その瞬間の血糖値がわかる。日ごとの履歴も残る。ひとつのセンサーで最大2週間、連続して使用でき、風呂に入るときも装着したままでオーケーだ。
それを装着してから、いろいろなことがわかった。
まず、それまでの日々の食事は、高血糖を危惧するようなものではなかったということ。一日2度の食事で多くの栄養素をバランス良く取り入れている。朝食は玄米ご飯と具のたっぷり入ったみそ汁、焼き魚、サラダ、他にほんの少しの肉類と漬物、ヨーグルト。夕食は、おつまみ数種類と刺し身など。酒はビール1本、食中酒として黒糖焼酎のソーダ割りを2杯。シメを食べないと血糖値が下がりすぎるため、最後にパン、小さなおにぎり、冷たいうどんのいずれかを食べる。スイーツは和菓子系を少々。夜9時からのバータイムは黒糖焼酎をロックで1杯。以上である。
血糖の正常値は70〜140らしいが、私は通常60〜75をウロウロし、食後、最も高いときでも130ていど。おおむね、低めのラインで安定している。ただし、朝食後、ひどく眠かったときの値はわからない。今となっては知る由もない。一度、センサーを装着したまま以前の食事を試したが、結局、血糖値は上昇しなかった。
つくづく思う。糖尿病にはなりたくないと。好きなものが食べられなくなったり、血糖値を下げるためにインスリン注射をするなど、ごめんである。免疫が下がり、合併症を併発する恐れも高まる。
まずは自分の体を知る。それが重要だ。体の精妙な動きにあらためて感動する。そういう意味でも、フリースタイルリブレ、なかなか役立つシロモノであった。
やはり、自分だけの情報では限りがある。教えてもらってほんとうに良かった。
本サイトの髙久の連載記事
◆ネコが若い女性に禅を指南 「うーにゃん先生の心のマッサージ」
髙久の著作(オススメ本)
お薦めの記事
●「美しい日本のことば」
今回は、「五月雨」を紹介。「さみだれ」です。梅雨の季節に東北を旅していた松尾芭蕉も――五月雨を集めて早し最上川 と詠んでいます。続きは……。
https://www.umashi-bito.or.jp/column/
(200715 第1007回)