「脱中国」宣言
コロナウイルスの感染拡大が止まらない。
新型コロナウイルスは、生物兵器として開発された人工ウイルスが、ずさんな管理のために漏れてしまったとの説もあり、仮にそうであればこれまでのウイルスとは異なり、収束させる手立てがない可能性もある。いずれにしても、人類が初めて直面する難題といえそうだ。
コロナウイルスの感染は、社会を一気に変革させた。なかにはひどいものもあれば、〝怪我の功名〟のようなものもある。
今回、露呈されたことのひとつに、過度の中国依存による弊害があげられるだろう。マスクがそうであったように、国内で生産していない商品の流通が滞ってしまった。これは、行き過ぎた自由貿易に対してコロナウイルスが警鐘を鳴らしてくれたともいえる。
かつて、イギリスの経済学者デビッド・リカードは、比較優位と呼ばれる自由貿易を擁護する理論を提唱した。それぞれの国が得意とするモノの生産に特化し、それ以外は輸入すればより多くの利益が得られるという考えだ。外国からの安い輸入品によって消費者のメリットが増大し、国際的な分業で企業の利益を大きくなる、と。
世界はこの経済理論にのっとってしゃにむに突き進んだ。それによって消費者は恩恵を蒙り、大企業の利益は増大した(もちろん、その陰で退場を余儀なくされた中小企業も数しれないが)。
しかし、この理論が通用するのは、「世界情勢が平穏無事であれば」という条件がつく。自然災害や戦争、あるいは今般のような伝染病などによってサプライチェーンが滞った場合、輸入できなくなった国々は、一気に品不足に悩むことになる。それが食料であれば、世界中がパニックになる。
そんなこともあって、わが家では「脱中国」宣言をした。といっても、家族はふたりだけだから、声高に宣言するものでもないが……。
これまでも、食品だけは中国産を避けていた。まったく信用できないからだ。今後は日用雑貨や衣料品についても「脱中国」を進めることにした。イタリア製の衣料品と思っていたものが、じつは中国製だったということがしばしばある。なるべく国産のもの、それが無理ならば、なるべく中国産以外の商品を使うことにしたのである。
近年の中国のなりふりかまわぬ覇権主義は、孤立化を促すだろう。東シナ海、南シナ海、インド洋などでの中国による侵害は増大するばかり。台湾など、有事も想定される。そうする以外、あの広大な国土を治める手立てはないのかもしれないが、いずれにしても習近平政権は瀬戸際外交を加速させている。それによって、必要な商品が輸入できなくなる可能性が高まるはず。
私は、一人ひとりの中国人に対し偏見を抱いているわけではない。現に何人か会ったことがあるが、善良(と思える)な人が多いと思う。しかし、国家となると話は別だ。相変わらず、日本政府は「ことなかれ主義」を通しているが、せめて自分たちはバランスをとりたい。
これを機に、中国を生産拠点にしている企業が他国へシフトする動きが加速することを願っている。どうせ中国で得た利益を国内に還流させることができなくなるのだから。
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(200731 第1011回 写真は尖閣諸島)