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紺碧の将

近代日本の始まりを見届けた松前城

2020.09.10

 函館から一路南下し、北海道最南端の松前を訪れた。松前漬けを食べるためではなく、松前城を見るためである。

 1849年、外国船の出没に備え津軽海峡の警備強化を図るため、幕府から築城を命ぜられた松前藩第17代藩主・松前崇広は、5年がかりで松前城を完成させた。当時、新しい城を造ることは全国的に禁じられていたが、それほど当時の危機感は強かったといえる。外圧による〝やむにやまれぬ〟一大事業だったのだ。北海道内で唯一の日本式城郭でもある。

 時代が下り、戊辰戦争末期の箱館戦争では、土方歳三率いる旧幕府軍と新政府軍の間に激しい戦闘が繰り広げられた。旧幕府軍は敗走し、函館郊外の五稜郭へ向かうことになる。

 米英に宣戦布告した1941年、松前城は国宝に指定された。太平洋戦争でもかろうじて残ったが、1949年、松前町役場の火事の飛び火によりあっけなく焼失してしまう。とばっちりは、どんなときも理不尽だ。

 その後、全1961年に再建された。

 

本丸御門は、国の重要文化財に指定されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

城の内部は資料館になっている。こんな古文書もある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

有名な絵師による作品ではないが、たしか院展の画家がこういう絵を描いていたような記憶がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

天守閣の窓から陸奥湾(?)を眺める。かつて箱館戦争のとき、沖に浮かぶ軍艦がこの城目がけて砲弾を撃ち込んだ。その様子をイメージすると、妙な感懐を覚えた。まさに月清く千古の秋の趣である。

(2009010  第1021回)

 

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