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紺碧の将

初の電子書籍『ちからのある言葉』発売

2020.12.23

 今般のコロナ禍は人間社会のあらゆる面に、さまざまな影響を及ぼしている。これを仕掛けたものが大いなる創造主であれ、中国共産党であれ、破壊的な力を有していることは明らかだ。

 私が経営する株式会社コンパス・ポイントにおいても、変化を余儀なくされた。一時はどうやって存続させたらいいのか、もはや命脈は尽きるのかと思ったこともあるが、いま振り返れば良き影響があったこともたしかだ。

 弊社の出版部門(出版事業ではない)フーガブックスは「本でしか表現できないことを表現したい」という旗印を掲げている。この場合の本は〝紙の〟本であり、ハウツーものなどの浅薄な本ではない。書き手の思いがぎっしり詰まった本、けっして多くはないがきちんとした読者が存在すると思われる本。品のある美しい〝身なり〟の本。存在感のある本。その範疇に電子書籍は入っていなかった。

 しかし、時に応じて変化することも重要だということは知っているつもりである。アナログ制作からデジタル制作に変えたときもそうだし、自社の定期出版物を始めたときもそうだった。私だけがリモートワークを始めたときもそうだった(リモートワーク歴は10年以上になる!)。

 今回もそういう転換期だと思った。そうだ、電子書籍を出してみよう、と。『fooga』や『Japanist』、この「Chinoma」を含め、コンテンツは膨大にある。それを活用できるいいチャンスではないか。そう思ったのは、今年の夏だった。

 第1弾は本サイトで圧倒的な人気があり、10年続くロングラン・コンテンツ「ちからのある言葉」のなかから201本を選び、再編集したもの。選・解説は神谷真理子さん。詩や絵本のジャンルで力を発揮している彼女ならではの表現豊かな解説が独特の世界を醸す。古今東西、有名無名を問わずセレクトした珠玉の言葉を題材に、エッセイ風の体裁でその言葉の本質をあぶり出している。人生訓のようでもあり、楽しい読み物でもある。

 本書のあとがきで神谷さんはこう書いている。

「『ちからのある言葉』は、書き始めてから5年余りになる。世間に向けた言葉ではあるけれど、いつの間にかわが身の救いを求める祈りのようなものになり、今でも自分自身への提言と思って書きつづけている。ところが角度を変えて眺めてみれば、そこにもっと大切な意味が潜んでいることに気づいた。

 それは、言葉を紹介しつつ、実は語り手たちの言葉にならなかった言葉をすくい上げ、わたしなりに解釈して代弁しているということ。人の営みを支える『はたらき』の原点は、誰かや何かが伝えようとしているものを、彼らに代わってかたちにすることじゃないかと思う。」

 ポケットにしのばせる感覚で、手元のスマホやタブレット端末に収め、空いた時間に少しずつ読んでもらえれば……。もちろん、机の前でパソコンに向かい、じっくり読むのもいい。読み方のスタイルはたくさんあるのだから。

(201223 第1047回)

 

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