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紺碧の将

夕映えの勇姿

2011.05.19

 今年1月14日付けの本ブログにおいて、私は重大な秘密をカミングアウトしてしまった。“つ、つ、ついに盆栽の世界に” というタイトル通りの危険な秘密を。

 私が初めて手をつけたものは小さなケヤキで、高さ20センチ弱、樹齢は約20年。太い幹周りと枝のバランスは、窓越しに見えるケヤキの大木(多朗と勝手に命名)をそのまま縮小コピーしたかのようである。

 買った日に「夕映え」と名付け、4月1日、初めて1ミリ程度の葉っぱを確認したこともその後のブログに書いた。

 それから1ヶ月半。どうです、見てください、この勇姿! 細い枝に比べて、こんなに大きな葉っぱ。支えられなくて、垂れ下がるほど大きな大きな葉っぱがわんさと繁った。

 拍手喝采を雨あられと降らしてやった。

 「すごいぞ、すごいぞ、夕映え!」

 1月の姿(右下)と比べると別人のようである。

 

 「そりゃあ、時期がきたから葉が繁っただけじゃないか」という人もいるにちがいない。

 広大な宇宙の秩序、超細密な遺伝子の構造……、世の中にはわからないことばかり。しかし、その秩序があってわれわれは生きている。

 この1年8ヶ月、田口先生の下で『老子』を学ばせていただいているが、そういうことを考えるきっかけにもなった。その結果、以前にもまして精神衛生がいい。以前からそういう傾向があったが、些末なことなどどうでもいいと思えるようになった。現代人のほとんどは、やらなくてもいいことに無駄なエネルギーを使い、煩わされなくてもいいことに朝から晩まで煩わされている。ぐーんと視点を離れてそういう人間模様を見ると、じつに滑稽である。

 その桎梏から放たれるための有効な方法を植物たちは教えてくれている。

(110519 第252回 写真は現在の夕映え)

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