初の電子書籍『偉大な日本人列伝』を発売
これも世の流れというものだろう。弊社の出版事業部門「フーガブックス」は、電子書籍に舵を切った。もちろん、ときに応じて紙の書籍も作るが、基本は電子書籍に据えた。
メリットはいくつもある。印刷・製本のコストがかからない(必要であれば、いつでも印刷できる)、在庫の必要がない、注文に応じて発送処理も不要、代金回収のコストもかからない。その分、アマゾン(小社の電子書籍販売はアマゾンに委託)に所定の手数料を払う必要があるが、売れた分を先方で管理し、毎月振り込んでくれるのはありがたい。弊社のように、創業以来34年間、専任の事務職をおかない会社にとって、メリットは大きい。読み放題で登録している人が読んだ分も、ページあたりの計算で決済してくれる。つまり、一度アップしてしまえば、半永久的に知的財産となるのだ。
それらのこととは別に、紙でなければならない書物があることはもちろん言わずもがなである。
面白いのは、周囲の知人たちの反応だ。比較的若い世代の人は、むしろ電子書籍を重宝している。パッと購入できて、いつでもどこでも端末で読める。電子書籍に変えてから読書量が何倍にもなったという知人もいる。
いっぽう、比較的高齢の人は反応がイマイチだ。ダウンロードの仕方がわからないという人もいる。そもそも本は紙で読むものだと信じ、はなから受けつけない人も少なくない。
私も紙で読む人間だ。しかし、仕事柄、そうも言っていられないため、いくつかは電子書籍で購入している。たしかに、外出する際、何冊も持ち歩くことはできないが、電子書籍ならいくらでもパソコンに入る。本のジャンルによっては電子書籍の方が向いている場合もある。特に資料的なものや情報の類は電子書籍の方が合っている。そういう本は、たいがい読み終われば処分するし、その分、資源の無駄になる。その点、電子書籍なら邪魔にもならない。
という前置きのあと……、ついに私の初の電子書籍を発売した。題して『偉大な日本人列伝』。『Japanist』に連載したものを大幅に加筆・修正し、最後に昭和天皇を加えた。
選んだ基準は、
①日本の歴史において多大な貢献をした人物
②ただ単に私が惚れ込んだ人物
の2点である。
それに従って本書に登場するは生年順に、西行、織田信長、徳川家康、大久保利通、吉田松陰、坂本龍馬、山岡鉄舟、渋沢栄一、伊藤博文、東郷平八郎、児玉源太郎、小村寿太郎、後藤新平、岡倉天心、八田與一、岸信介、黒澤明、昭和天皇の18人。八田與一以外は、だれもが知る著名人ばかりである。そのかわり、客観的な記述に交えて主観による独自の視点で彼らの〝人となり〟を描くことを心がけた。例えば、
「大久保利通は日本史上最強のリーダー(大久保は現在でも不人気だが、同時代の実力者たちからは絶大な人気と信頼があった)
「龍馬とモーツァルトには多くの共通点があった」(あくまでも独善的な見方だが)
「西行は政治色の強い歌人だった」等々。
読んだ人が、「こんな見方があったのか!」と思ってくれたら、ひとまず本書を出した意義があるといえるし、「すごい日本人がいたものだ。そういう国に生まれてよかった」と思ってくれたら、さらに望外の喜びである。
聖徳太子、源頼朝、松尾芭蕉、西郷隆盛など、このラインナップに入れるべき人物がまだほかにもいるのは承知の上だが、まずは第1弾として本書を編んだ。興味のある方は、下記をクリックください。
(210514 第1076回)
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