All things must pass.
ジョージ・ハリスン
ビートルズ解散後、ジョージが発表した3枚組が「オール・シングス・マスト・パス」。
「万物は移り変わる」とでも訳そうか。形あるもの、すべて常ならず。東洋思想の根本のひとつでもある。
ジョージに大きな影響を与えたのは、マハリシ・ヨーギーであり、ラヴィ・シャンカールであった。ビートルズの一員として頂点を極めたからこそ、その反動もあったのだろう。どんなに富を得ても、心の満足とは比例しないということもわかったにちがいない。その後、彼はバングラデシュ救援コンサートを開くなど、他の元メンバーとはまたちがったアプローチで社会との接点をもった。
ともかく……。どんなに隆盛を極めていても、やがて衰退を辿ることは誰にも止められない。ただ早いか遅いかのちがいだけ。
とはいえ、そうと知って虚無的になるのもおかしなもの。心の片隅に「All things must pass」と刻み、自分に与えられた生を燃やし尽くす。それこそが、命をまっとうするということではないか。ジョージもそういう人生をおくった。
(第99回 220501)
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