There are things known and things unknown and in between are the doors.
ドアーズのジム・モリソンは、嵐のように人生を駆け抜け、数々の名作品を残した。あまりに純粋だったがゆえ、人間性を整形化する現代に生きるにはつらかったにちがいない。
バンド名はオルダス・ハクスリーの『知覚の扉(The Doors of Perception)』に由来する。そこにはこう書かれている。
――If the doors of perception were cleansed, everything would appear to man as it truly is, infinite.
(もし知覚の扉が浄化されるならば、あらゆる物は人間にとってありのままに現れ、無限に見える)
この言葉をバンド名に使っているくらいだから、ロックと詩を融合させようという気概があったのだ。
掲出の言葉の意味は、「わかっていることと、わからないこと。その中間に扉がある」。
わかっていることは、とりたてて重要なことではない。検索すればすぐに答えを得られるものなど、ほとんど価値がない。むしろ「わからないこと」の方にきわめて重要な意味が含まれている。
わからないことってなんだろう?
自分はなにをしたいのか? 自分にとっての優先順位は? なにをすれば幸せと感じるのか? 社会の規律はほんとうに正しいのか?
わからないことは無限にある。その答えを真剣に求めるならば、知覚の扉から分け入り、自分の目と心をクリアにしなければならない。
ジム・モリソン……、物事の本質を求める人だった。
(第107回 220902)
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