My life didn’t please me, so I created my life.
ココ・シャネル
フランスのファッション・デザイナーとして知らない人はいない(たぶん)。
彼女の言葉は、フランス人らしく、レトリックに満ちている。
曰く、私の人生は楽しくなかったから、私は自分の人生を創造した。
う〜ん、最初の「私の人生」とはどんな意味なのだろう? そもそもこの語感には「他者」のニュアンスが含まれている。「My life」という他者が、自分を面白くしてくれなかった、と。
おそらくそれは境遇であろう。大人になってからの境遇は自分がやってきたことの結果が入り混じっているが、子供の頃の境遇は、そのほとんどが「もって生まれたもの」。どんな両親のもとに生まれたのか、どんな家庭環境なのか、家族の収入はどれくらいか、どの国のどの地域に生まれたのか、きょうだいはいるのか等など。あるいは、身長など体格や顔つき、声、性格などもそれに含まれる。
ココ・シャネルはそれらが嫌いだったのだ。もちろん、100%満足する人はいないと思うが、特に彼女は自分の境遇に満足できなかったのだ。
その結果、自分が好きな人生をクリエイトしようと思ったのだろう。
生まれながらに満足できる境遇の人など、皆無に近い。であれば、どうやって自分の人生を創造するか。それを追い求めることにこそ人生の醍醐味、「生まれてきた甲斐」があるのではないか。
(第115回 230501)
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