海の向こうのイケてる言葉
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紺碧の将

There are things known and things unknown and in between are the doors.

ジム・モリソン

 ドアーズのヴォーカリスト、ジム・モリソンの詞は意味深長だ。

 そもそもバンド名はオルダス・ハックスレーの著書『知覚の扉』(原題はThe doors of perception)の下の一節が由来となっている。

 If the doors of perception were cleansed, everything would appear to man as it truly is, infinite.

(もし知覚の扉が浄化されるならば、すべては人間にとってありのままに現れ、無限に見える)

 ハックスレーのその著書は、18世紀の詩人ウィリアム・ブレークの詩の一節を引用し、幻覚剤の体験を表現したものだが、ジム・モリソンもThe doorsという言葉に惹かれていたようだ。

 表題の英文の意味は、

 ――わかっていることとわからないことの間に扉がある。

 じつは、わかっていることなんて、ほんのわずかしかない。年々、科学的な知見の蓄積は著しく多いが、ひとつのことが明らかにされると、それに数倍する「わからないこと」が出現するのだという。つまり、なにがわからないのかさえわからないのだ。と考えれば、生涯学びつづけることがいかに大切で、いかに魅惑に満ちたものかがわかる。

 ジム・モリソンは、この世はわからないことだらけであり、それを知る手がかりが無数の扉の向こうにあると気づいていた。しかし、その扉の向こうは、世の常識とはまるでかけ離れている。夭折したのは当然の帰結であった。

(第118回 230803)

 

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