Maturity consists in having rediscovered the seriousness one had as a child at play.
フリードリヒ・ニーチェ
ニーチェはドイツ人だから、上掲の言葉をそのまま英語で言ったとは思えないが、世間には英語の方が流布している。
訳すれば、「成熟とは、子供のとき、遊ぶ際に示したあの真剣味をふたたび見出すことである」。
なんということだろう。子供時代、無我夢中になって遊んでいたその境地を見出すことが成熟であるとは!
しかし、さほど深く考えずともわかる。成熟した人は、子供のようであることが。逆の見方をすれば、したり顔で大人ぶっているほど成熟から遠ざかっている。
子供の頃の真剣味のある遊びとは、時間を超越することでもある。夢中で遊んでいるうちに、気がついたら何時間も過ぎていたというあの感覚。歳を重ねてそういう境地に達したとき、「遊びも学びも仕事も同じ」になっているといえる。
(第127回 240503)
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