Count your age by friends, not years.
ジョン・レノン
――年の数ではなく、親友の数で自分の歳を数えよう。
いい言葉だなあ。
若い頃は友だちが多い。同じ年、地域に生まれたというだけで同じクラスに入り、そこそこ友だちになれる。しかし、歳を重ねるごとに親友と言える人の数は減っていく。
それはそうだろう。大人になるということは、それぞれの価値観を形成していくということなのだから、やみくもに友だちになれるわけではない。むしろ価値観の違いが浮き彫りになり、疎遠になっていく。ジョン・レノンもそういうことを体験し、それによって気持ちがヨーコという女性に一点集中で向かったのだと思う。
しかし、年とともに真の友人が減っていくからこそ、そういう時に友人になった人の価値はいや増すことも事実である。当然のことだが、人生観が鮮明になればなるほど、友人の数は減っていき、その替わり、濃密な友人ができる。たとえ数は少なくても……。
私は、我を忘れて話し込んでいるうち、気がつけば5時間も過ぎていたというケースが多々あるが、それは歳を重ねたから味わえること。
なんでもかんでもアンチエイジングと言う人は、そういう歓びを知らないのだと思う。
(第136回 250208)
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