It always seems impossible until it’s done.
ネルソン・マンデラ
過酷な人種隔離政策「アパルトヘイト」が50年近くにわたって行われていた南アフリカで、初の黒人大統領になったネルソン・マンデラの言葉。
――なにごとも、実現するまでは不可能と思えるものである。
約28年に及ぶ、厳しい獄中生活を乗り越えた人物ならではの、魂の発露とも言うべき発言である。
筆者はケープタウン沖に浮かぶロッベン島へ行ったことがある。マンデラが収容されていた島だ。荒涼とした小さな島にあるのは監獄のみ。凍えるような季節でも、夜具はペラペラのムシロだけ。そこでマンデラは、ある地点から他の地点へ大量の砂を移し、再び元の場所に移すという意味のない労働に明け暮れる日々を過ごした。獄中にある多くの者が死んでいくなか、なにが彼の生命力を維持したのであろうか。
ひとつ言えることは、マンデラが味わった苦しみを思えば、なんだってできるということである。
本コラム第6回で紹介したスティーブ・ジョブズの「Think Different」キャンペーンで、彼は最後までマンデラを起用したいという希望を持っていたが、ついに叶わなかった。
(第20回 200830)
本サイトの髙久の連載記事
髙久の著作
お薦めの記事
●美しい日本のことば
今回は、「夜振火」を紹介。夏の夜、川面に灯りをともすと光に吸いよせられるように魚が集まってきます。この灯火が「夜振火(よぶりび)」〜。続きは……。