Those who live in glass houses shouldn’t throw stones.
ことわざ
村上春樹のエッセイ集『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』で見つけた。「ガラスの家に住む人は、みだりに石を投げるべきではない。人を責める前に、自分に弱点がないかどうか確認したほうがいい」という意味。西洋では、古くから偽善を戒める言葉として使われていたようだ。
しかし、ことわざが人間を変えることはないようだ。むしろ、いつまでも人間の本質が変わらないからこそ、格言・金言がずっと残っているとも言える。
今もある、自分を棚に上げて人をさんざんにこき下ろす風潮が。匿名で発信できるようになったことで、その風潮に拍車がかかっている。
人を責めたくなったら、ひと呼吸おこう。はたして自分は人をとやかく言える人間なのだろうか。ガラスの家に住んでいることを忘れて、人に石を投げようとしているのではないか、と。
それこそが自制心というものだろう。自分への戒めとしながら、この言葉を紹介したい。
(第40回 210220)
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