The most important thing in communication is hearing what isn’t said.
ピーター・ドラッカー
オーストリア生まれの経営学者ドラッカーのファンは、日本にも多い。彼の言葉は、いずれも経営の要点を突いている。いつの時代も横行する、体裁をつくろっただけの、薄っぺらな、読んだそばから忘れてしまうような付け焼き刃的経営論とは一線を画しているからだろう。
曰く、「コミュニケーションで最も重要なことは、言葉にされていないことに耳を傾けることだ」
言うは易く行うは難し。言わんとしていることはわかるとして、では、いったい、どうすれば言葉になっていないものを聞き取れるというのだろう?
相手のちょっとした目の色や声色の変化、身振り、動作、前後の文脈、ひとつひとつの言葉の意味……、それらを総合的にとらえ、感性をフル回転させながら、言葉になっていない相手の真意を読み解くことだろう。
とはいえ、これも至難の業。それを読み解く力を養うためには、魂を磨くことだ。魂を磨くには、美しい自然に触れること、人がつくった崇高で美しい芸術にふれること。成果が現れるまでに相当な時間がかかるが、それこそが近道ではないかと思っている。
(第46回 210404)
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