You may have to fight a battle more than once to win it.
マーガレット・サッチャー
「鉄の女」との異名をとり、〝英国病〟に苦しんでいたイギリスを立ち直らせた辣腕政治家。筆者は彼女をもっとも偉大な政治家の一人にあげている。
上掲の言葉の意味は「勝つためには、一度ならず戦わなければならないこともある」。当然といえば当然である。
しかし、サッチャーをこう言わせた社会的背景がある。「ゆりかごから墓場まで」というスローガンを掲げ、国家がすべての国民の全生涯を面倒みるという方針のため、成功者に非常識な課税(最大約98%)をした結果、能力のある者は国外へ脱出し(ビートルズのように)、働きたくない者ばかりが国に残った。その成れの果てが英国病であった。
サッチャーの決意はなみなみならぬものがあった。「私の仕事は英国が共産主義に向かうのを防ぐことだ」と言い、「お金は天から降ってこない。地上で稼ぎ出さねばならない」と言った。さらに「金持ちを貧乏にしても、貧乏人が金持ちになるわけではない」とさえ言った。日本でそんな発言をしたら、すぐさま火だるまになるだろう。
サッチャー改革の成果は歴史の示すとおり。政治に100点満点はありえないが、とてつもない大仕事を成し遂げたことは明白である。
(第55回 210606)
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