Preserving health by too severe a rule is a worrisome malady.
マキャヴェリストとして知られるロシュフコーの箴言は、どれも皮肉たっぷりだが、物事の核心をついている。上の言葉もそのひとつだ。
曰く「厳しすぎるルールで健康を保とうとすることは、悩ましい病気である」。
なにごともそうだが、極端に過ぎると、本来いいものであっても、とたんに悪くなる。たとえば信仰心は人の心を救う、尊いものだが、原理主義に傾けば、他の宗教を排撃することになるのと同じように。
健康法もそう。「これは健康にいい」と思ったものが、「これ以外にいい健康法はない」に変わり、やがて「この健康法でなんでもかんでも治せる」となり、しまいには「この健康法を守るためなら死んでもいい」となる。笑い話のようだが、人間はそういう穴に陥りやすいのだ。まして、自分と同じ価値観の意見ばかりに接していれば、いつしかそれだけが正義になり、やがて「他の考えは許せない」となってしまう。
最近とみにSNSの怖さを感じている。なかには有意義な情報も混じっているのだろうが、大半は根拠の乏しい主張に過ぎず、そのなかに巧妙にデマが紛れ込んでいる。デマは大半がエキセントリックだから、またたく間に拡散する。そして、デマを信じる者と信じない者の間に断熱が走る。
なにごともほどほどにしなければいけませんね。
(第60回 210711)
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