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紺碧の将

アフタービートが効いた、エッジの強さ

file.085『アウトランドス・ダムール』ポリス

 今年3月、スティングの来日公演がある。

 直近のスティングのインタビューを見た。いい歳のとり方をしていた。若い頃のトンガッた感じが抜け、とても許容力のある熟年男性になっていた。

 話のなかで、彼はサッカー日本代表の活躍ぶりを称賛し、「日本の国歌を初めて聴いたけど、じつに素晴らしい。国歌の多くは西洋のモノマネだけど、日本の国歌は美しく荘厳で、日本の国柄に合っている」と。

 それを聞いて、とても嬉しかった。スティングという人の人間性に触れることができたとも思った。

 彼は高校時代、100メートル走で全国3位になったことがあるという。タイムは11秒くらい。そんな彼はスポーツが好きだ。

 歌を唄うこともスポーツの一種と言ってはばからない。毎日、喉や首の筋肉を鍛えているという。そういえば、歳をとって声域が狭くなってしまったかつての大物アーテイストを何人か知っている。やはり日頃の練習不足なのだろう。

 私はポリス時代に、一度だけコンサートに行ったことがある。スティングのフレットレスベースが印象的で、新しい波が到来したと感じた。

 当時ロックバンドを組んで遊んでいたが、ポリスのデビュー盤に入っていた「ロクサーヌ(Roxanne)」や「キャント・スタンド・ルージング・ユー(Can’t Stand Losing You)」などをコピーしていた。

 ポリスは70年代後半に突如として現れたパンク・ムーヴメントの流れを汲んだニューウェイブの延長に生まれ、アフタービートで小気味よくリズムを刻む曲が多いせいか、「ホワイト・レゲエ」とも呼ばれていた。

 リーダーのスティングはヴォーカルとベース、他はドラムスのスチュワート・コープランドとギターのアンディ・サマーズ。

 それぞれの力量と個性がハイレベルにあると、なんといっても魅力的なバンド編成はトリオ。それぞれの楽器の特徴が絡み合い、絶妙な相乗効果をもたらす。

 ポリスのサウンドはシンプルでエッジが効いている。アフタービートを多用していることでもわかるように、リズムは白人ぽくない。今でこそスティングはシブい声を売りにしているが、デビュー当時はかなりハイトーンで声が細かった。そのソリッド感が魅力でもあったのだが……。

 本アルバムから最近のスティングのソロアルバムを通して聴くと、スティングという稀有なロック・アーティストが、歳とともに深みを増してきたプロセスがわかる。私は、この若々しいスティングも大好きである。

 

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